今回は
- 院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)
- 感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)
の2つについてお話できればと思います。
院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)とは?
まずは、院内感染対策事業(JANIS)についてお話するよ。主に院内感染対策に関わるスタッフが利用しているんだけど、知ってる?
はい。感染管理認定看護師さんから教えていただきました。JANISは2000年の7月から開始された厚生労働省の院内感染対策サーベイランス事業のことですよね?
そうそう。院内感染対策に有効な情報を提供することを目的にしている事業で、参加医療機関から薬剤耐性菌の分離率や院内感染の発症率に関するデータを収集し、分析している機関になるんだ。2024年時点での参加医療機関は、4,000を超えているよ。(※2018年時点では2,000程度だったので、5年で約2倍になっています)
参加とデータ提出ってどうやってするの?
JANISに参加するためには、公式ページから参加申し込みを行えばできるよ。JANISは下記の5つの部門
- 検査部門
- 全入院患者部門
- 手術部位感染(SSI)部門
- 集中治療室(ICU)部門
- 新生児集中治療室(NICU)部門
に分かれているので、中身をよく確認した上で参加検討を行う必要があるよ。
ふむふむ。いろいろあるんですね。
うん。ちなみに1部門からでも参加が可能だよ。
じゃあ1部門だけだったら簡単に参加できそうですね。
う〜ん…データの提出自体はWeb上にデータをアップロードするだけだから簡単なんだけど、そのデータを作るまでが結構大変なんだよね〜。
そうなんですね。そこまでして提出するメリットがあるんですか?
参加するメリットは?
参加を行うと、自施設の統計データの還元だけでなく、他施設の統計データとの比較が行えるよ。なので、自施設がどれだけ感染対策に努めれているかを分析することができるんだ。これが1つ目のメリットだね。
なるほど。自施設と他施設で比較ができるんですね。1つ目というと、2つ目のメリットもあるんですか?
うん。他のメリットというかこれは要件になるんだけど、感染管理の加算においてJANISやこの後お話するJ-SIPHEというものに参加していること。という診療報酬の要件があるんだ。これが参加している医療機関が多い理由にもなっているかな。
感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)とは?
続いて感染対策連携共通プラットフォーム(J-SIPHE)についてだよ。こちらは、AMR臨床リファレンスセンターが厚生労働省の委託事業として行っているものになるよ。比較的新しい事業で2019年から開始されたよ。
ふむふむ。JANISとはどういった違いがあるんですか?
JANISは、どういった細菌が患者さんから分離されたか。注意が必要な薬剤耐性菌が分離されていないか。どういったことが原因で分離されたか。といったことがメインとなっているんだけど
J-SIPHEは、医療機関内でどれくらいの抗菌薬が使用されているか。といった薬剤についてがメインとなっているよ。
そういった違いがあるんですね。
参加とデータ提出ってどうやってするの?
J-SIPHEの参加に関しても、JANISと同様に公式ページから行うことができるよ。
J-SIPHEでは
- 医療機関の基本情報
- AST関連・感染症診断情報
- AMU情報(入院/外来)
- ICT関連情報
- 医療関連感染情報(医療機器、NICU、SSI)
- 微生物耐性菌関連情報
等の登録が行えるようになっていて。こちらもJANISと同様に自施設と他施設の比較が行えるようになっているよ。
薬剤関連の他にJANISで登録しているような、細菌感染の情報等も登録ができるんですね。
うん。JANISとの連携も可能で、JANISの提出データをJ-SIPHEに取り込むこともできるようになっているよ。
参加するメリットは?
参加するメリットに関してはほとんどJANISと同じで、自施設と他施設の比較が行えるんだ。あとは、施設間同士でグループを組むことが可能でそこでの比較等も行うことができるよ。
まとめ
今回は、感染情報に統計に関わってくるJANISとJ-SIPHEについて、概要をお話してみました。まとめとしては下記になります。
- JANISは厚生労働省が行なっている院内感染対策サーベイランスのこと
- JANISに参加し、データ提出することで自院と他院のデータ比較ができるようになる
- JANISは医療施設の診療報酬における加算要件となっている
- J-SIPHEはAMR臨床リファレンスセンターが行っているサーベイランス事業のこと
- J-SIPHEも医療施設の診療報酬における加算要件となっている
大事なこと
- 薬剤耐性菌を増やさないこと
- 菌の感染経路をできるだけ分析し、院内発生をできるだけ減らすこと
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