クリニカルパスについて
今回はクリニカルパスについてお話してみたいと思います。
総合病院で働いていると嫌でも耳にする単語になりますので、興味がある方は記事を読んでみてください。
医療の標準化
ざっくりいうと、「1日目に入院・検査をする。2日目に手術をする。3日目に退院」とかって感じかな。
…まぁ、医療の標準化という言葉だけ頭の片隅に置いといてくれたらいいかな。このあと詳しく説明するね。
わかりました。
もっと具体的に
クリニカルパスは一般社団法人 日本クリニカルパス学会というところが推奨していて、下記のように定義されているよ。
患者状態と診療行為の目標、および評価・記録を含む標準治療計画であり、標準からの偏位を分析することで医療の質を改善する手法
一般社団法人 日本クリニカルパス学会
少し難しいので例を出してみるね。
例えば虫垂炎という診断を受けた患者さんが入院して手術を行ったとする。
入院中に
A医師 ⇒ 検査(多め) ⇒ 薬(多め)
B医師 ⇒ 検査(少なめ) ⇒ 薬(少なめ)
という治療を行ったとする。
どちらの患者さんも予後は良好だったとするね。
こうなるとどうなる?
えっと、A医師が受け持った患者さんの方がお金がかかってしまう?ですか?
その通り。
今回は材料を例にしましたが、A医師とB医師が同じ疾患の患者を100人見た際に、平均在院日数が1日違うなどといった場合などについても同様です。
もちろん患者さんの年齢や体力、その時々の症状によって全く同じ診療を行うということはあり得ないんだけど、できるだけEBMEbidence based medicineの略で、科学的根拠(エビデンス)に基づく医療のこと。に基づいた診療を行えるようにという目的でクリニカルパスが推奨されているんだ。
使用するメリットは?
続いて、クリニカルパスを使用するメリットだけど、医療の標準化が図れるということに加え
●チーム医療としての情報の共有を円滑に行える
●標準治療からどれだけ逸脱しているかの確認ができる
●検査内容や薬剤の見直しが簡単に行える
といったことがあげられるよ。
患者さんに対しても
●おおよその医療費がわかるから治療費の目安が提示できる
っていうメリットもあるんだ。もちろん他にもたくさんあるよ。
確かに基本的な診療内容が決まっていると、そこからどれだけズレているかという目安になるので、医療過誤なども軽減できそうですね。
アウトカム、バリアンスって?
クリニカルパスを使う上でもう1つ重要となってくるのが、アウトカムとバリアンスだよ。
アウトカム?バリアンス?
アウトカム = 達成目標のこと
バリアンス = アウトカムが達成できない(予定通りにいかない)こと
だよ。ちなみにクリニカルパスにおいては診療行為のことをタスクと呼んでいるんだ。
クリニカルパスは、タスクに対してどれだけアウトカムが達成できたか。またどれだけバリアンスが起きてしまったか。を分析することによって、より安全で効率的な医療を目指していけるんだ。
ふむふむ。例えば、どんなことがアウトカムとバリアンスにあたるのですか?
アウトカムの場合
検査前⇒内容を患者が理解できたか?
手術○日後⇒離床が行えたか?
などだね。
バリアンスの場合
手術〇日後に、離床が行えなかった。
行えなかった理由は○○だった。といったことがそれにあたるね。
他にも予定していた検査や点滴以外のものを行う場合もバリアンスにあたるね。
そういったタスク、アウトカムとバリアンスを分析して医療の標準化を目指していくんですね。医療の標準化の意味が少しわかった気がします。
おわりに
今回は、クリニカルパスの基礎ついてお話してみました。
上手く説明できたかわからないですが(笑)
この内容を踏まえた上でクリニカルパスの医療情報システムについてもいつかお話できたらと思います。
【追記】クリニカルパスシステムについて
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